“炭酸泉”とは、炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだお湯のことで、別名「ラムネのお風呂」とも言われています。
日本の温泉法では、お湯1リットルに炭酸ガスが0.25g以上(250ppm)溶けたものが炭酸泉と定義されており、その中でも、1000ppm以上のものを高濃度炭酸泉と言います。炭酸泉は、濃度が高ければ高いほどその効果を発揮すると言われています。
炭酸泉は、他の温泉には無い独自で明確な作用があることが医学的にも証明されており、各方面において広く活用されています。
炭酸泉に入浴すると、細かな泡が付着し、まるでラムネやシャンパンの中に入っているように感じられます。
ぬるめのお湯でも実際の温度より約2、3度温かく感じるため、低い温度のお湯でゆっくり長湯すると良いでしょう。
体の芯から温まり、湯上り後も体がポカポカ温かく、持続性が強いのが特徴です。
天然炭酸泉とは、炭酸ガスが溶け込んだ状態で天然に湧き出た温泉のことを言います。
炭酸ガスには、高温のお湯に大量に溶けないという性質があることから、泉温が高い日本の様な火山活動が活発な国では、高濃度に炭酸ガスを含んだ天然の炭酸泉に出会うことは非常に稀です。しかし、その中でも、大分県竹田市直入の長湯温泉は日本で最も良質な天然炭酸泉が湧き出ることで有名な温泉です。また、海外においては、泉温の低いヨーロッパ地方(特にドイツ)で、高濃度の炭酸泉が多く湧き出しており、古来から「心臓の湯」と呼ばれ、伝統的医療として人々に広く親しまれてきました。特に、ドイツの「バーデンバーデン」は有名な温泉保有地で、13種類の温度と成分の異なる温泉があり、温泉治療を目的に世界中から多くの人々が訪れます。
一方、人工炭酸泉とは、お湯にきれいな炭酸ガスだけを溶かした炭酸温水のことを言います。先に述べた様に、炭酸ガスの性質上、単純に高温のお湯に大量の炭酸ガスを溶け込ませることはできません。そのため、高温水に炭酸ガスを溶かす特殊技術が開発され、人工的に高濃度炭酸泉を作り出す装置が誕生しました。
現在では、病院をはじめとする医療機関だけでなく、介護施設や温浴施設、エステティックサロン、フィットネスクラブなどで人工炭酸泉が導入され、病気治療に留まらず、美容や健康目的として利用されています。また、近年では各家庭でも利用できる人工炭酸泉装置が登場し、誰でもより身近に炭酸泉を利用することができるようになりました。